智ちゃんの志津川ボランティア日記 M
柔道場の屋根から雨漏り! ―5月30日(月)


この2週間の習慣?で、神戸に帰ってきても5時半に目が覚めてます。

5月30日(月)の報告

今日は台風。キャラバンに8人乗って出発。強い風にあおられるのでスピード抑え目。ギヤはセカンド。
車が少ない。登米でいつも見かける自転車通学や原付通学の人々ともすれ違わない。さすがにお休みか。
南三陸に入る。警察車両の列が走る。見回りかなぁ。
高校付近、ALSOKの車が左に傾いて停まっている。アスファルトの道幅のすぐ脇は大きな段差だから踏み外したかな。
志津川高校で8時半からの全体打ち合わせに出る一人をおろして、アリーナのボラセンに向かう。

ボラセンに着く。テントが閉まってる。9時からだ。まだ8時半。車に戻ってようか。数人戻る。
たまたまボラセンスタッフに会う。全身合羽で長靴、互いに顔を見て認識。
「おはようございます。」と言うと、「あ。今日はボランティア全面中止です。」
「えっと・・・志津川高校カリタスです。」「ありがとうございます。どうしましょうか。」
「もう既に一人打ち合わせに行きましたけど。電話すればよかったですね。」
「いいえ。室内だし、無理の無い範囲でお願いします。」
昨日の報告書と今日の受付表を渡す。
「他に二つ教えていただきたいことがあります。高速道路の手続きと、新幹線が安くなるという二件」
「こちらへお入りください」プレハブの一室に通される。
中に居たボラセンスタッフの女性二人も、来てみてから今日の全面中止を知ったという。

高速道路の手続きは、ボラセンで期間証明をもらい、役場に免許証・車検証と一緒に持っていくという。
新幹線はJR東日本の駅に行けば誰でも5,000円で東京に行ける。証明は要らない。期間限定。
確認後、地元の交通機関や地元の味の話になる。
「仙台に行くなら、登米からバスで行くのがい良い。電車だと今日も事故とか止まってるみたい。石巻まで出ても電車は本数少ないし、駅に行くまで一時間はかかる。バスが出来てからはバス使うかな。あとは車。」
スタッフのうち一人は登米市の東和町から来ている。米川ベースも東和町。近くだ。
「林林館あるから、そこにレストランもある。萩の月みたいなお土産物はないけど地元の野菜とかあるし、油ふ丼も、はっと汁も食べられるから。おいしいよ。地元の味。」忘れないようにメモを取ってると、お2人もニコニコしてくる。
和んだところで高校へ向かう。あれ?アリーナから出て信号のある交差点、さっきは点いてたはずの信号が停電している。

柔道場2階の手前、こどもの遊びスペース。楽器もある

志津川高校。避難所になってる柔道場の2階にある物資スペースに行く。
2階の奥半分が物資、手前は半分が子どもの遊び場で、もう半分が子どものいる家族のスペース。
以前から、1階も2階の手前部分も居住スペースですから気を遣うようにと先輩ボランティアに言われていた。
ところが先週一人のボランティアが強引に子どもに関わって(子どもの知らない曲を無理に三線で伴奏させて自分が歌い、子どもはカチコチ固まっているのに一緒に遊んでいると勘違い)、子どもたちもビビッてしまったことがあった。
この事件?以降、ボランティアは外階段を利用することになっていた。
でも、今日のこの雨と風、これではちょっと危ないので内階段を利用した。
打ち合わせでもそのような話になったらしく、雨風の日はボランティアも内階段を利用して良いことになった。
階段にボランティア専用の靴箱を作るようにとのこと。そう決まって良かった。ダンボールで靴箱を作る。

雨風強い中、徳島県職員のお2人が仮設トイレをロープで補強している。
以前の強い風のとき、倒れたことがあったそうです。
仮設トイレに行くのもびしょ濡れになるからおっくうだ。

柔道場の屋根から雨漏り。応急処置作業のためギャラリーに積んである物資をロープで下ろす。
男性ボランティアの居る日でよかった。下ろしたダンボールに入っていた衣類は濡れていて、もう使えない。

校庭の弓道場の一部に居る方は、犬を飼っているのでこの場所に居る。その場所の窓が割れた。
廊下も窓が開いていたらしく吹き込んで濡れている。避難所住民の男性と徳島県職員によって応急処置。

本部受付に顔を出す。2人の女性は保育士さん。「えっとぶり!」と言われる。
???「えっとぶりは久し振りって意味」と言う。メモを取ると「ここの言葉じゃないよ。徳島弁」
志津川高校に応援に来ている徳島県職員の方々から教わったそうです。関係がうまくいってるんだなぁ。
あ、ハンカチが並べてある。神戸からのだ。
野田北部の隣の地域の方から浅山会長が託されて送ってくれた大量のハンカチを志津川高校に持ってきてた物です。
子どもの物、紳士物、バンダナが数種類。カフェでも使わせていただいて、雰囲気が良くなっている。
「これ凄い評判良いよ!子どものはすぐ無くなった。これもすぐに補充してるの。」
綺麗に並べて小出しにしているようです。喜ばれていると、やっぱりほっとして嬉しい。

ハンカチの横に置物のたこがある。
「志津川はたこなんですか?本吉郡南三陸町に入ると道にたこの絵が描いてありますよね。」
「明石のたこ、志津川のまだこって言うんだよ。有名。あわび食べてるからおいしいんだよ。」
食の話は次々進む。
「うにもあるね。うには海草でも何でも食べる。人も食べるって言うから浜の人は今年はうに食べれないって言ってた。」
「ほやも良いよ。海のパイナップル。酢醤油でも、蒸しても、茹でたのを大根と人参のキムチと和えるのも美味しいし、普通に砂糖とお酒とお醤油で煮付けても美味しい。においがあるけどね。庶民的。」
くだけた話が出来て、少しゆとりが出てきたのかな。

今日は台風なのでボランティアは午前中で一応終了。残る方は自由だけど、残ったらカフェ担当になる。
今朝の打ち合わせで今日ケアカフェしますと言ったのでカフェは夕方まで開くという。

でもこの雨と風なのでカフェまで来てもらうと渡り廊下で濡れてしまうから、ポットに入れて柔道場と食堂にデリバリーの予定らしい。カフェも認識されてきているので、柔軟な対応ができそうで良かった。

米川ベースに戻る人も居たので車に乗せて走る。ボラセンで教えてもらった林林館でお昼を食べる。
油ふ丼。ぱっと見は親子丼。どんぶりに御飯たっぷり。お味噌汁とお漬物。全体がやわらかい味で食感もやわらかい。
はっと汁。はっと粉はすいとんと書いてあった。ほうとうより薄くのばしてある。地元で採れたきのこたっぷり。美味しい。
休憩しながら食べきった。2週間で少し痩せた分は、確実に取り戻せたような感じです。
油ふだけでも売ってるし、タレだけでも売っている。油ふ丼セット(たれつき)もある。

ふきやしどけ、わらび、たけのこなど山菜もたくさん売ってます。今が旬らしい。
再仕込み醤油や不老仙味噌も美味しそう。レジの方も「この味噌美味しいですよ。」
登米では仙台牛のもとの登米牛も生産しているし、小麦生産も多いそうです。

志津川高校に戻る。雨も収まってきたので、道にたまった水も引いてきている。
カフェのデリバリーは好評だったそうでスタッフも喜んでいる。
カフェスペースの模造紙には保育士さんたちが折り紙や絵で紙面の枠を穏やかな感じにしていた。
ここに子どもたちの描いてくれた絵を飾っていくそうだ。一緒にやってきている感じ。良い方向に進んでいる気がする。

ボラセンは今日閉まっているので寄らず、志津川高校を後にして米川に向かう。明日は神戸に帰る。
「えー、挨拶回りしたらよかったのに、あっさりしすぎ。」とボランティアの一人に言われた。
他の方はどうしてるか知らないけど、私は避難所の人々にさようならの挨拶はしなかった。
今ここに居る人たちは来る人に会うしか無いし、私自身さらっとしてるほうが性に合ってるから。
帰り道、晴れ間が見えた。

矢野智子

 


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